実技試験で不合格になる条件と、書いた答案が採点されない条件は、両団体の公表資料と問題用紙にあわせて9つ書かれています。よく語られる落ちる人の特徴とは別に、得点が届かない場合のほかに、欠席の扱い、解答用紙の書き方、筆記具、不正行為という、点数以前のところで結果が決まってしまう条件が公式文書に明記されています。

この記事は、第33回(2026年11月1日)を受けるかたに向けて、キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)と日本キャリア開発協会(JCDA)の受験概要・試験要項・お知らせ・よくある質問・第33回受験案内と、第30回の論述試験問題用紙に印刷された注意事項だけを根拠にしています。

書いていないことも先に示します。どんな答案が落ちるか、どんな受験者が落ちるかという傾向は、両団体とも公表していません。採点基準も模範解答も非公開なので、この記事では特徴や傾向を一切扱わず、公式資料に不合格となる・採点されない・無効となる・失格となると書かれているものだけを並べます。

公式資料に不合格・採点されないと書かれている条件は9つ

条件は、得点の基準(3つ)と、得点以前に答案や受験そのものが無効になるもの(6つ)に分かれます。出所を付けて一覧にすると次のとおりです。

#条件結果出所対象
1実技150点満点で90点未満実技が不合格受験概要/試験要項両団体
2論述が配点(満点)の40%未満実技が不合格受験概要/試験要項両団体
3面接の評価区分のいずれかが満点の40%未満実技が不合格受験概要/試験要項両団体
4論述と面接の両方を受験しない実技すべてが欠席扱い・両方とも採点しないお知らせ(第14回・2020年3月4日)/よくある質問キャリ協/JCDA
5解答用紙の裏面・行外への記述その記述は採点されない論述問題用紙の注意事項両団体
6解答用紙の受験番号・氏名の記載漏れ採点されない論述問題用紙の注意事項JCDA
7HBの鉛筆・シャープペンシル(黒)以外での記入その解答用紙は採点されないよくある質問JCDA
8不正行為すべての解答が無効論述問題用紙の注意事項両団体
9試験監督者・監督員の指示に従わない失格論述問題用紙の注意事項両団体

1〜3は受験概要と試験要項に、4はキャリ協のお知らせとJCDAのよくある質問に、5・6・8・9は問題用紙の1ページ目と解答欄の注記に、7はJCDAのよくある質問に書かれています。同じ条件でも、団体によって書いてある資料が違い、6と7のようにJCDAだけが明記しているものもあります。

得点の3つの基準は、どれか1つでも欠けると実技が不合格になる

得点の条件は、合計点と、論述、面接の3つが同時に成立しなければなりません。実技150点満点で90点以上、論述は配点の40%以上、面接は評価区分ごとに満点の40%以上です。論述は50点満点なので、40%は20点にあたります。

3つが「かつ」で結ばれているので、合計が90点を超えていても論述が19点なら実技は不合格ですし、論述が満点でも面接の評価区分のどれか1つが40%を切れば不合格です。評価区分の名称はキャリ協が態度・展開・自己評価、JCDAが主訴・問題の把握・具体的展開・傾聴で、団体ごとに違います。

区分ごとの配点は両団体とも公表していないため、面接のどの区分で何点必要かは計算できません。合計点と論述の得点の関係は論述の配点と合格基準で計算しているので、ここでは繰り返しません。評価区分の名称の違いはキャリ協とJCDAの違いにまとめています。

論述と面接の片方だけを受験すると、実技すべてが欠席扱いになる

実技は論述と面接で1つの試験区分なので、どちらか一方を欠席すると、受験したほうも採点されません。キャリ協が第14回試験の欠席についてのお知らせに書いた記載が、この扱いを明示した唯一の公表文です。

実技試験において、論述と面接試験両方を受験されない場合、実技試験すべてが欠席扱いとなり、論述・面接試験ともに採点を行いません。

出典: キャリアコンサルティング協議会「お知らせ」2020年3月4日 第14回キャリアコンサルタント試験欠席に伴う返金の特例措置について

このお知らせ自体は、新型コロナウイルス感染症を受けた第14回限りの返金の特例を伝えるものです。返金の特例は第14回に限られており、第33回の受験案内には受験申請受理後の返金には応じられないことと、次回の試験に振り替えられないことが書かれています。一方で、引用した欠席の扱いは第14回の特例として書かれた文ではなく、実技の採点の仕組みそのものの説明です。第33回受験案内には同じ記載がないため、キャリ協側でこの扱いを確認できるのはこのお知らせだけになります。

JCDAは、よくある質問で同じことを受験の必要という形で書いています。

実技試験は論述試験と面接試験を両方受けなければならないのですか。 両方の受験が必要です。

出典: 日本キャリア開発協会「よくある質問」

論述は11月1日、面接は11月7日以降の別日程なので、この2つは1週間以上離れています。論述の手応えが悪くても面接を受けなければ、論述の答案も採点されません。日程は第33回の日程にまとめています。

解答用紙は、書く場所・記載漏れ・筆記具で採点されなくなる

論述の答案は、内容の前に形式で採点対象から外れることがあります。キャリ協の第30回問題用紙は、設問の直前と解答欄の下の2か所に、記入場所の注意を印刷しています。

※注意事項:解答は全て解答用紙の行内に記入すること。裏面等に記入したものは採点されません。

出典: 第30回 キャリアコンサルタント試験 実技(論述)試験問題(キャリアコンサルティング協議会)

JCDAの第30回問題用紙にも、解答欄の下に同じ趣旨の注記があり、加えて1ページ目の注意事項に受験番号・氏名の記載漏れについての記述があります。

2. 解答用紙に受験番号・氏名を記入してください。記載漏れがあった場合は採点されません。 (中略) 注:解答用紙の裏面および行外に記述されたものは採点されません。

出典: 第30回 キャリアコンサルタント試験 実技(論述)試験問題(日本キャリア開発協会)

キャリ協の問題用紙の同じ位置には、受験番号・氏名に誤りがないか確認するようにという記載はありますが、記載漏れが採点されないという文言はありません。筆記具についても、採点されないという結果まで書いているのはJCDAのよくある質問です。

学科試験・実技(論述)試験ともに、解答用紙には、必ずHBの鉛筆またはシャープペンシル(いずれも黒に限る)を使用してください。それ以外のもの(フリクションペン等)で記入された解答用紙は採点されませんのでご注意ください。

出典: 日本キャリア開発協会「よくある質問」

行内に収める、受験番号と氏名を書く、HBの鉛筆かシャープペンシルで書く。この3つは内容と関係なく守れるので、答案の練習をする段階から解答用紙の様式に合わせて書いておくのが確実です。行内という制約は論述の書き方(キャリ協)でも扱っています。

不正行為は全解答が無効、指示に従わなければ失格 — 面接は録音・録画される

問題用紙の1ページ目には、答案の内容以前に受験そのものが無効になる条件が印刷されています。両団体とも同じ2項目を、番号まで同じ7番と9番に置いています。

7. 不正行為があったときは、すべての解答が無効となります。 (中略) 9. その他、試験監督者の指示に従ってください。指示に従わない場合は、失格となります。

出典: 第30回 キャリアコンサルタント試験 実技(論述)試験問題(キャリアコンサルティング協議会)

JCDAの同じ2項目は、呼び方だけが試験監督者ではなく監督員になっています。

7. 不正行為があったときは、すべての解答が無効となります。 (中略) 9. その他、監督員の指示に従ってください。指示に従わない場合は、失格となります。

出典: 第30回 キャリアコンサルタント試験 実技(論述)試験問題(日本キャリア開発協会)

面接については、キャリ協の第33回受験案内に、採点のためにデータを使うことがあるという説明つきで録音・録画の記載があります。

採点の公正性を期すため、面接試験の内容は録音・録画されます。なお、これらのデータは採点のために使用することがあります。

出典: 第33回 受験案内(キャリアコンサルティング協議会)

これは不合格の条件ではなく、その場の試験官の印象だけで採点が決まるわけではないという意味の記載です。面接で何を聞かれるかについては、公式の質問一覧が存在しないため、受験者の公開記録から数えた口頭試問で聞かれることを参照してください。

まとめ — 公式資料にないものと、次に取る行動

不合格になる人の特徴、答案の書き方の傾向、面接での態度の良し悪しといった話は、両団体の公表資料には一切ありません。キャリ協は配点と試験内容に関する問い合わせに答えないこと、模範解答を公開していないことを明記しており、採点基準も非公開です。したがって、確実に避けられるのは、この記事で並べた9つの条件だけです。

  1. 論述の練習を、解答用紙の様式(行内・受験番号と氏名・HBの鉛筆かシャープペンシル)に合わせた形で行う
  2. 論述の手応えにかかわらず面接を受ける前提で日程を確保する(片方欠席では論述も採点されない)
  3. 得点の目標は、論述40%ぎりぎりではなく合計90点から逆算して決める(論述の配点と合格基準