キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)の論述で点になるのは、設問文が指示している要素(何を書くか、何を手掛かりにするか)に、そのとおり答えている解答です。第30回と第31回の問題用紙を並べると、設問1〜4の文言は一字も変わっておらず、配点も10点・10点・20点・10点で同じです。つまり書き方は回ごとに変わるものではなく、4つの設問文を分解しておけば、どの回の事例記録が来ても同じ手順で書けます。

この記事は、キャリ協で第33回(2026年11月1日)を受ける人に向けて、設問ごとに求められている要素を配点つきで整理したものです。根拠は、協議会が公開している第30回・第31回の問題用紙、受験概要の合格基準、厚生労働省の出題範囲細目の原文だけです。講座の経験則や合格者の解答は使っていません。

先に断っておくと、模範解答や解答例はこの記事にはありません。協議会は模範解答を公開しておらず、配点や試験内容の問い合わせにも答えないと明記しています。当サイトが作った文章を「模範」として示すことはしません。代わりに、設問文そのものから逆算できる要素を示します。

論述の形式は「事例記録を読み、設問に解答する」50分・1ケース

キャリ協の論述は、1つの事例記録を読んで4つの設問に記述式で答える形式で、試験時間は50分です。受験概要には次のように書かれています。

論述 出題形式 記述式解答(事例記録を読み、設問に解答する) 試験時間 50分

出典: キャリアコンサルティング協議会「受験概要」

問題用紙の冒頭にも、解答の置き場所が指定されています。

問題 次の【事例記録】を読み、以下の設問に答えなさい。解答は解答用紙の設問ごとに記述すること。

出典: 第30回 キャリアコンサルタント試験 実技(論述)試験問題(キャリアコンサルティング協議会)

事例記録は「キャリアコンサルタントが今後の研鑽に生かすための、作成途中の事例記録」という体裁で、相談の概要が【略A】として伏せられ、途中の応答に【下線B】が引かれています。設問1と設問2は、この【略A】と【下線B】を直接指しています。事例記録の本文は協議会の著作物なので、ここには転載しません。実物は上の出典URLから開けます。

設問1〜4の文言と配点は第30回と第31回で同じ

第30回(2025年11月)と第31回(2026年3月)の問題用紙に書かれた設問文は、次のとおりです。配点は設問文の末尾に書かれています。

設問1 事例記録の中の「相談の概要」【略A】の記載に相当する、相談者がこの面談で相談したいことは何か。事例記録を手掛かりに記述せよ。(10 点) (中略) 設問2 事例記録の【下線B】について、この事例を担当したキャリアコンサルタントがどのような意図で応答したと考えるかを記述せよ。(10 点) (中略) 設問3 あなたが考える相談者の問題(①)とその根拠(②)について、相談者の言動を通じて、具体的に記述せよ。(20 点)2×10 点 (中略) 設問4 設問3で答えた内容を踏まえ、今後あなたがこのケースを担当するとしたら、どのような方針でキャリアコンサルティングを進めていくか記述せよ。(10 点)

出典: 第30回 キャリアコンサルタント試験 実技(論述)試験問題(キャリアコンサルティング協議会)

第31回の問題用紙も、設問1〜4の文言と配点はこれと同一です(出典URLは記事末に載せています)。合計は50点で、設問3だけが20点(①と②で10点ずつ)と重くなっています。

設問ごとに求められている要素を分解する

設問文を要素に分けると、次の表になります。右の列は、その設問で書き手が守る条件です。

設問配点書くもの設問文が付けている条件
設問110点相談者がこの面談で相談したいこと(「相談の概要」に相当する内容)事例記録を手掛かりにする
設問210点【下線B】の応答を、担当キャリアコンサルタントがどのような意図でしたと考えるか「意図」を書く(応答の言い換えではない)
設問320点(①10点・②10点)①あなたが考える相談者の問題、②その根拠相談者の言動を通じて、具体的に
設問410点今後このケースを担当するとしたら、どのような方針で進めるか設問3で答えた内容を踏まえる

ここから読み取れる、設問ごとの要点は次のとおりです。

設問1 は「相談したいこと」であって、キャリアコンサルタント側の見立てではありません。相談者が面談の場で言葉にした困りごとを、事例記録の記載に沿って書くのが指示です。設問3で書く「問題」と混ざると、設問1の要求から外れます。

設問2 は「意図」を問うています。下線部の応答をなぞって言い換えるだけでは、意図を書いたことになりません。直前の相談者の発言に対して、その応答がどう働くことを狙ったものかを書きます。

設問3 は①と②が別々に10点ずつです。①は「あなたが考える相談者の問題」なので、相談者本人が自覚していないことも含めて、キャリアコンサルタントの視点で捉えた問題を書きます。②は「相談者の言動を通じて、具体的に」と条件が付いているので、事例記録の中の発言や行動に即して根拠を示します。①と②が対応していなければ、片方だけ書いても要素が揃いません。

設問4 は「設問3で答えた内容を踏まえ」と明記されています。設問3で挙げた問題と無関係な方針を書くと、設問文の条件を満たしません。方針は「どのような方針でキャリアコンサルティングを進めていくか」と問われているので、関わり方と支援の順序を書きます。

設問4の「方針」は出題範囲細目の技能に対応している

論述で問われる技能は、厚生労働省が定める出題範囲細目の実技試験の範囲に書かれています。設問3・4に直接つながるのは、基本的技能の4番目です。

  1. 相談過程全体の進行の管理に関する技能 相談者が抱える問題の把握を適切に行い、相談過程のどの段階にいるかを常に把握し、各段階に応じた支援方法を選択し、適切に相談を進行・管理することができること。
出典: 厚生労働省「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」実技試験の範囲

「問題の把握」が設問3、「各段階に応じた支援方法を選択」が設問4に当たります。細目にはこの後、相談過程において必要な技能として、相談場面の設定、自己理解への支援、仕事理解への支援、自己啓発の支援、意思決定の支援、方策の実行の支援、新たな仕事への適応の支援、相談過程の総括の8つが列挙されています。設問4の方針は、この8つのどれを使うかという形で書くと、細目の言葉と対応します。

解答用紙は「行内に記入」— 裏面と行外は採点されない

問題用紙の設問の前と、解答用紙の末尾に、同じ趣旨の注意書きがあります。

※注意事項:解答は全て解答用紙の行内に記入すること。裏面等に記入したものは採点されません。 (中略) 注:解答用紙の裏面および行外に記述されたものは採点されません。

出典: 第30回 キャリアコンサルタント試験 実技(論述)試験問題(キャリアコンサルティング協議会)

解答用紙は設問ごとに記入欄が分かれていて、設問3は「① 問題」「② その根拠」の欄がさらに分かれています。書く量は欄の行数で決まるので、欄からはみ出す長さは点になりません。50分で4問なので、配点の重い設問3に時間を残す配分を先に決めておくのが現実的です。

合格基準は「配点の40%以上」と実技150点満点で90点以上の両方

論述の合格基準は、受験概要に次のように書かれています。

合格基準 150点満点で90点以上の得点 *但し、論述は配点の40%以上の得点、かつ面接は評価区分「態度」「展開」「自己評価」ごとに満点の40%以上の得点が必要

出典: キャリアコンサルティング協議会「受験概要」

論述は50点満点なので、40%は20点です。ただし論述だけで合否が決まるのではなく、面接と合わせた150点で90点以上が必要です。この関係は論述の配点と合格基準で計算を含めて整理しています。

模範解答が公開されていないことは、協議会の過去問題ページに明記されています。

過去に実施した3回分の試験問題を公開しています。 なお配点・試験の内容に関するお問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください。 (中略) ※模範解答は公開しておりません。

出典: キャリアコンサルティング協議会「過去問題/学習情報」

まとめ — 次に取る行動

  1. 協議会の過去問題ページから第30〜32回の論述問題を開き、設問1〜4の文言が同じであることを自分の目で確かめる(入手先と公開範囲は論述の過去問にまとめています)
  2. 上の表を手元に置き、設問ごとに「書くもの」と「条件」を満たしているかを自分の解答で確認する
  3. 設問3の①と②が対応しているか、設問4が設問3を踏まえているかを最後に見直す
  4. JCDAで受ける場合は形式が違うので、論述の書き方(JCDA)を読む

第33回の学科・論述は2026年11月1日です。日程の全体は第33回の日程に両団体分をまとめています。