論述の合格ラインは1本ではなく2本あります。論述単体で「配点の40%以上」(50点満点なので20点以上)を取ること、そして論述と面接を合わせた実技150点満点で90点以上を取ることです。片方だけでは実技合格になりません。論述で20点ちょうどなら面接で70点が要り、論述で40点取れば面接は50点で足ります。
この記事は、キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)と日本キャリア開発協会(JCDA)の公表資料にある合格基準と、問題用紙に印刷された設問別配点だけを根拠に、この2本のラインの関係を整理したものです。両団体とも採点基準と模範解答を公開していないので、何を書けば何点になるかという推測は書きません。合格率も扱いません。
論述は50点満点 — 設問別の配点は問題用紙に印刷されている
論述の満点が50点であることと設問ごとの配点は、受験概要や試験要項ではなく、各回の問題用紙に書かれています。キャリ協の第30回問題用紙では、設問ごとに配点が付いています。
設問3 あなたが考える相談者の問題(①)とその根拠(②)について、相談者の言動を通じて、具体的に記述せよ。(20 点)2×10 点
JCDAの第30回問題用紙では、設問全体が50点と明記され、問いごとの配点が付いています。
(【後半A】、【後半B】は、同じ相談者(CL)、同じ主訴の下で行われたケースである)(50 点) (中略) 記述せよ。(20 点: 10 点×2)
第30回・第31回(キャリ協)と第30回(JCDA)の問題用紙から読み取れる配点を並べると、次のとおりです。
| 団体 | 設問 | 配点 | 合計 |
|---|---|---|---|
| キャリ協 | 設問1 | 10点 | 50点 |
| キャリ協 | 設問2 | 10点 | 〃 |
| キャリ協 | 設問3(①と②で2×10点) | 20点 | 〃 |
| キャリ協 | 設問4 | 10点 | 〃 |
| JCDA | 問い1 | 15点 | 50点 |
| JCDA | 問い2(①と②で10点×2) | 20点 | 〃 |
| JCDA | 問い3 | 15点 | 〃 |
どちらの団体も相談者の問題とその根拠を問う設問(キャリ協 設問3・JCDA 問い2)が20点で最も重く、①と②に10点ずつ分かれています。設問ごとの書き方は論述の書き方(キャリ協)と論述の書き方(JCDA)に分けて整理しています。
合格基準の原文 — キャリ協は「配点の40%以上」、JCDAは「満点の40%以上」
キャリ協の受験概要では、実技の合格基準が次のように書かれています。
合格基準 150点満点で90点以上の得点 *但し、論述は配点の40%以上の得点、かつ面接は評価区分「態度」「展開」「自己評価」ごとに満点の40%以上の得点が必要
JCDAの試験要項も、言い回しは違いますが同じ構造です。
150点満点で90点以上の得点 ただし論述試験の満点の40%以上、かつ面接試験の評価区分の中の「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」のいずれにおいても満点の40%以上の得点が必要
論述は50点満点なので、40%は20点です。実技の合格には、この論述20点以上に加えて、面接の評価区分ごとの40%以上と、論述+面接の合計90点以上が同時に必要です。
論述の得点別に、面接で必要になる点数(算出)
実技150点のうち論述が50点なので、残りの100点が面接の配点です(150−50の算出値で、面接の区分別の内訳は両団体とも公表していません)。合計90点以上という条件から、論述の得点ごとに面接で最低限必要な点数を引き算すると次のようになります。
| 論述の得点 | 40%ライン | 面接で必要な点数(90−論述) |
|---|---|---|
| 19点以下 | 未達(論述で不合格) | — |
| 20点 | 達成 | 70点以上 |
| 25点 | 達成 | 65点以上 |
| 30点 | 達成 | 60点以上 |
| 35点 | 達成 | 55点以上 |
| 40点 | 達成 | 50点以上 |
| 45点 | 達成 | 45点以上 |
| 50点 | 達成 | 40点以上 |
この表は合計90点の条件だけを計算したものです。面接には別に評価区分ごとに満点の40%以上という条件があるため、面接の合計が足りていても区分のどれかが40%を切れば実技は不合格になります。区分ごとの配点が公表されていないので、その部分は計算できません。
表から分かるのは、論述を40%ぎりぎりで通すと面接に70点(100点満点の7割)が要り、論述で30点取れば面接は60点で足りるということです。論述の10点差が、そのまま面接に求める点数の10点差になります。
論述だけの合否判定はない — 実技は論述と面接で1つ
キャリ協の第33回受験案内では、合否判定の単位が学科と実技であることが書かれています。
試験は学科試験と実技試験(論述及び面接)で行われます。それぞれの試験で合否判定を行い、学科試験と実技試験の両方に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録することにより「キャリアコンサルタント」と名乗ることができます(登録後5 年毎に更新が必要です)。
「それぞれの試験」は学科と実技の2つで、論述は実技の一部です。論述で高得点でも面接が基準を下回れば実技全体が不合格になり、翌回は論述からやり直しです。JCDAの試験要項にも、実技(論述および面接)は1つの試験区分として扱われ、学科と実技は個別に受験できると書かれています。
学科試験と実技試験(論述および面接)で行われ、個別の受験が可能です。
公表されていないもの — 採点基準・模範解答・面接の区分別配点
キャリ協は、配点や試験内容に関する問い合わせに答えないこと、模範解答を公開していないことを明記しています。
なお配点・試験の内容に関するお問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください。 (中略) ※模範解答は公開しておりません。
したがって、この記事で確かなのは、設問別の配点、40%ライン、「150点満点で90点以上」までです。設問ごとに何を書けば何点になるかという採点基準は公表されておらず、講座や解説サイトが示す配点の内訳は推測です。当サイトも、点数の予想は出しません。
まとめ — 次に取る行動
- 論述の目標を20点ぎりぎりではなく、面接に求める点数を下げる水準(30点以上)に置く
- 配点の重い設問(キャリ協 設問3・JCDA 問い2)の①問題と②根拠を、相談者の言動に基づいて対応させる
- 面接の評価区分(キャリ協=態度・展開・自己評価/JCDA=主訴・問題の把握・具体的展開・傾聴)は名称だけが公表されているので、キャリ協とJCDAの違いで両団体の原文を確認する
- 第33回の学科・論述は2026年11月1日、合格発表は12月16日(予定)です(第33回の日程)