口頭試問で何を聞かれるかは、キャリ協・JCDAとも公表していません。公式資料にあるのは「自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える」という出題形式の一文と、時間(5分)、評価区分の名称だけです。だから講座や解説サイトが挙げる口頭試問の定番質問は、すべて受験者の記憶か聞き取りに基づく非公式のものです。

この記事は、その非公式の情報を、出所を明らかにして数えたものです。受験者本人または試験対策の支援者が公開している記録6本を読み、質問の型ごとに、何本の記録に出てくるか、どちらの団体か、合否が明記されているかを実数で示します。回答例は載せません。口頭試問の答えは受けたロールプレイの中身で変わり、模範解答は公式にも存在しないためです。

公式に決まっているのは、自らのキャリアコンサルティングについて答える5分だけ

キャリ協の受験概要では、面接の口頭試問について次のように書かれています。

口頭試問 (自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える) 試験時間 20分(ロールプレイ15分、口頭試問5分)

出典: キャリアコンサルティング協議会「受験概要」

JCDAの試験要項も同じ一文です。

口頭試問: ・自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える

出典: 日本キャリア開発協会「試験要項」

評価区分の名称は、キャリ協が「態度」「展開」「自己評価」、JCDAが「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」で、各区分の定義文と配点は公表されていません(キャリ協とJCDAの違いに原文を載せています)。面接は録音・録画されます。

採点の公正性を期すため、面接試験の内容は録音・録画されます。なお、これらのデータは採点のために使用することがあります。

出典: 第33回 受験案内(キャリアコンサルティング協議会)

つまり、どの質問が出るかは公式には分からず、分かるのは、自分がしたロールプレイについて聞かれることと、それが評価区分に沿って採点されることだけです。

読んだ記録6本の内訳

2026年8月25日に取得した、受験者本人または試験対策の支援者による公開記録です。有料部分は読んでいないので、無料で読める範囲だけを数えています。

#出所団体時期種類合否の明記
1JINJI.LOG(Mayuka)JCDA(キャリ協の項目も併記)第25回本人の受験記録あり(合格)
2オキログ(沖 圭祐)JCDA2016年本人の受験記録あり(合格)
3ながえもん@ブログJCDA第18〜19回の受験者を中心に聞き取り支援者の聞き取り(約50名)
4note 中村 修JCDA2022年勉強会での練習に基づく整理記載なし
5note かりんキャリ協2024年本人の受験記録(有料・サンプルのみ)あり(合格)
6note ふじちゅう記載なし第30回本人の受験記録(有料・本文非公開)あり(合格)

本人の受験記録は4本(#1・#2・#5・#6)、聞き取りや勉強会に基づく整理が2本(#3・#4)です。JCDAが5本に対してキャリ協は1本(#5)で、キャリ協の情報は#1が併記している項目と#5のサンプル文に限られます。#6は本文が有料で、口頭試問の質問内容は無料部分に書かれていないため、以下の集計には入れていません。

質問の型ごとの出現本数(#1〜#5・5本中)

質問の言い回しは記録ごとに違うので、型に丸めて数えました。数字は、その型の質問に触れている記録の本数で、実際に本人が聞かれたと書いているものと、聞かれる項目として挙げているものの両方を含みます。

質問の型本数出てくる記録団体
ロールプレイでできたこと・できなかったこと(良かった点・悪かった点)5#1・#2・#3・#4・#5JCDA・キャリ協
今後どのように展開・支援していくか5#1・#2・#3・#4・#5JCDA・キャリ協
相談者の主訴(一番訴えたかったこと)4#1・#2・#3・#4JCDA(#1はキャリ協でも「踏まえて回答」と記載)
キャリアコンサルタントから見た相談者の問題(見立て)4#1・#2・#3・#4JCDA(同上)
資格をどのように活かしたいか4#1・#2・#3・#4JCDAのみ
相談者の今の気持ち・状況・人物像・価値観2#3・#4JCDA

全記録に共通するのは「できたこと・できなかったこと」と「今後の展開」の2つです。この2つはキャリ協の評価区分「自己評価」「展開」、JCDAの「具体的展開」と名称が重なりますが、対応関係は公式に示されていないので解釈です。

「資格をどのように活かしたいか」は4本すべてJCDAで、#2は次のように書いています。

「ロールプレイとは関係ない質問です。JCDAでは聞かれていて、キャリアコンサルティング協議会では聞かれていないようです(2016年時点)。」(オキログ)

#1もキャリ協の項目として挙げているのは「できたこと・できなかったこと」と「今後の展開」の2つだけで、資格の活用は含めていません。キャリ協でこの質問が出ないと断定はできませんが、5本の記録の範囲では、資格の活用を聞かれた記録はJCDAに限られます。

JCDAでは「主訴」「問題点」が減り「気持ち」「価値観」が増えたという記録が2本

#3(ながえもん@ブログ)は、第18回以降に聞き取った内容の変化を次のように書いています。

「第18回以降は実際に試験で出題された口頭試問の内容に変化が見られました。」(ながえもん@ブログ)

同じ記録で、主訴と問題点の質問が減り、代わりに相談者の気持ち・状況・人物像・価値観を問う質問が増えたとしています。#4(2022年)も、主訴と問題点は聞かれることが減り、相談者の今の気持ちや価値観、人物像といった質問が増えてきたと書いています。

ただし、この2本はどちらも本人1回の受験記録ではなく、聞き取りや勉強会での見聞に基づく整理です。何回分の受験で数えたかは書かれていないので、傾向としては読めても、出題率の数字として扱うことはできません。#3自身も、評価項目が「主訴・問題の把握」である以上、質問の言い回しが変わっても問われている中身は変わらない、という整理をしています。

記録から読み取れる、準備できる範囲とできない範囲

5本の記録に共通して、事前に準備できると書かれているのは次の2つです。

  1. 答えの型: 「できたこと・できなかったこと」と「今後の展開」は、どのロールプレイでも聞かれる前提で、答える順序と長さを決めておける。5分なので、聞かれたことに短く答える
  2. 資格の活用(JCDA): ロールプレイの内容と無関係なので、唯一まるごと準備できる質問として#4が挙げている

準備できないのは、主訴・問題点・気持ち・価値観など、その場のロールプレイの中身で答えが決まる質問です。これらは15分の間に相談者の発言を捉えられていたかがそのまま出るので、口頭試問の対策というよりロールプレイの対策になります。

論述で問われる相談者の問題とその根拠、今後の方針は、口頭試問の「問題点」「今後の展開」と問いの形が近く、#4は今後の展開の答え方が論述の問いと対応していると書いています。論述の設問の分解は論述の書き方(キャリ協)論述の書き方(JCDA)にあります。

まとめ — 次に取る行動

  1. 公式に分かっているのは、自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える5分と、評価区分の名称だけだと押さえ、質問リストを公式のものとして覚えない
  2. 「できたこと・できなかったこと」「今後の展開」の2つは、自分のロールプレイの癖を踏まえて答えの型を作っておく
  3. JCDAで受けるなら「資格をどのように活かしたいか」を文章にしておく(5本中4本の記録がJCDAで挙げている)
  4. 面接日は受験票で通知され変更できないので、第33回の日程で自分の団体の日程幅を確認する