国家資格キャリアコンサルタント試験の受験資格は3つで、決めているのは試験団体ではなく法律です。職業能力開発促進法 第30条の4 第3項が3つの区分を置き、その中身を職業能力開発促進法施行規則 第48条の4 が定めています。このうち実務経験3年のルート(受験資格2)は、第33回(学科・論述 2026年11月1日)の申請から指定様式の実務経験証明書と誓約書が必要になりました。

この記事は、実務経験ルートで受験を考えている人に向けて、条文と両団体の受験案内の原文だけで受験資格を整理したものです。第33回の受験申請はキャリアコンサルティング協議会(キャリ協)が2026年8月28日(金)で締め切られ、日本キャリア開発協会(JCDA)は2026年8月31日(月)までです。次の第34回(2027年3月7日)の受付はキャリ協が2026年12月11日(金)〜12月22日(火)、JCDAが2026年12月9日(水)〜12月23日(水)で、これから実務経験証明書を用意する人はこの日程で読んでください。

自分の経験が受験資格に当たるかどうかは両団体が個別に判断するもので、JCDAは事前の問い合わせに回答しないと明記しています。この記事にできるのは、判断基準として公表されている文言をそのまま示すところまでです。

受験資格は法律で3つに決まっていて、団体が増やしたり減らしたりはできない

受験資格の根拠は職業能力開発促進法 第30条の4 第3項です。試験は厚生労働大臣が行い、キャリ協とJCDAは登録試験機関としてその実施を担っているので、受験できる人の範囲を団体が独自に決めることはありません。

次の各号のいずれかに該当する者でなければ、キャリアコンサルタント試験を受けることができない。 一 キャリアコンサルティングに必要な知識及び技能に関する講習で厚生労働省令で定めるものの課程を修了した者 二 厚生労働省令で定める実務の経験を有する者 三 前二号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの

出典: 職業能力開発促進法 第30条の4 第3項(e-Gov 法令検索)

この3つの号が、両団体の受験案内にある区分1・2・3にそのまま対応します。中身を決める厚生労働省令が施行規則 第48条の4 で、第1項が講習、第2項が実務経験、第3項が同等以上の能力(技能検定の一部合格)です。

区分法 第30条の4 第3項施行規則 第48条の4受験案内での書き方申請に必要な証明書類
1第一号(講習修了)第1項(厚生労働大臣の認定を受けた講習)厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方養成講習修了者コード(無い場合は修了証の写し)
2第二号(実務の経験)第2項(三年以上の実務の経験)労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する方実務経験証明書+誓約書
3第三号(同等以上の能力)第3項(一級又は二級の技能検定の学科試験又は実技試験に合格した者)技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した方キャリ協は一部合格番号の記入/JCDAは一部合格証明書の写し

複数に該当する場合はいずれか一つを満たせばよく、両団体とも受験案内でそう書いています。JCDAのよくある質問では、養成講習修了という受験資格に有効期限はないこと、2016年3月までの標準レベルの養成講座修了による受験資格は経過措置期間(2016年4月から2021年3月31日まで)の終了により無いことが答えられています。

実務経験の3年は、施行規則が相談の種類を3つに分けて書いている

区分2の実務経験は、施行規則 第48条の4 第2項が定めています。受験案内では1つの文にまとまっている相談の種類が、条文では3つの号に分かれています。

法第三十条の四第三項第二号の厚生労働省令で定める実務の経験を有する者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。 一 労働者の職業の選択に関する相談に関し三年以上の実務の経験を有する者 二 労働者の職業生活設計に関する相談に関し三年以上の実務の経験を有する者 三 労働者の職業能力の開発及び向上に関する相談に関し三年以上の実務の経験を有する者

出典: 職業能力開発促進法施行規則 第48条の4 第2項(e-Gov 法令検索)

3つの号に共通しているのは、相談の相手が労働者であること、相談の内容が職業の選択・職業生活設計・職業能力の開発及び向上のどれかであること、そして三年以上であることの3点です。この条文だけでは、たとえば相談が業務の一部だった場合に期間をどう数えるかは読み取れません。そこを補っているのが両団体の判断基準です。

年数の数え方については、JCDAのよくある質問が受験申請の時点ですべての要件を満たす必要があると答え、実務経験の経験年数は受験申請日までの通算年月数(端数の日は切り捨て)と書いています。申請日の時点で3年に足りなければ、次の回まで待つことになります。

何が「経験」に当たるかの判断基準は、両団体が同じ3条件を公表している

キャリ協の受験案内(注3)とJCDAの試験要項・受験案内(※1)は、どちらも同じ3つの条件を判断基準として掲げています。JCDAの試験要項の文言を引きます。

上記における「経験」に該当するかどうかは、以下のいずれも適合するかどうかという考え方を基準に、個別に判断することになります。 キャリアコンサルティングによる支援対象者が、「労働者」であること。なお、ここでいう労働者とは、現在就業している方のみならず、現在仕事を探している求職者(ハローワーク等の職業紹介機関に求職の申込みを行っている方、学卒就職希望者等)を含みます。 相談の内容・目的が職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上に関するものであること。 キャリアコンサルティングが一対一で行われるもの、又はこれに準ずるもの(少人数グループワークの運営等)であること(情報提供に止まるもの、授業・訓練の運営そのもの等は含みません)。

出典: 日本キャリア開発協会「試験要項」受験資格 ※2 キャリアコンサルティングに係る実務経験について

見ているのは相手(労働者か)・内容(職業の選択、職業生活設計、職業能力開発及び向上のどれか)・形式(一対一か、それに準ずるか)の3点で、含まれないものとして明記されているのは情報提供に止まるものと授業・訓練の運営そのものだけです。キャリ協の受験案内は同じ3条件に加えて、相談に継続的・反復的に携わったこと、相談者の希望に応じて実施されることの2点を定義として置いています。

ここでいう「経験」とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上のいずれかに関する相談に継続的・反復的に携わった経験をいいます。(中略)相談業務とは、相談者が、その適性や職業経験に応じて自ら職業生活設計を行い、これに即した職業選択や職業能力開発を効果的に行うことができるよう、相談者の希望に応じて実施されるキャリアに関する相談(1対1で行われるもの、またこれに準ずる少人数グループワークの運営)をいいます(情報提供に止まるもの、授業・訓練の運営そのもの等は含みません)。

出典: 第33回 キャリアコンサルタント試験 受験案内 p.2 受験資格 *3(キャリアコンサルティング協議会)

第33回から実務経験証明書は指定様式になり、誓約書が加わった

実務経験ルートの申請書類は、第33回から変わりました。両団体の連名で2026年7月30日に出されたお知らせと、両団体の受験案内が根拠です。

2026年(令和8年)8月(第33回試験)より、以下の通り、実務経験証明書の様式等を変更いたします。

出典: キャリアコンサルティング協議会「お知らせ」2026年7月30日 キャリアコンサルタント試験 受験資格2の様式等の変更について

第33回試験より、指定様式の実務経験証明書と誓約書の提出が必要です。(中略)第33回試験は経過措置として旧様式の実務経験証明書による申請も受け付けます。

出典: 第33回 キャリアコンサルタント試験 受験案内 p.2 *4(キャリアコンサルティング協議会)

JCDAの受験案内には、新様式と旧様式の書類が並べて載っています。旧様式は実務経験証明書(Excel)と注意事項の2点、新様式は実務経験証明書(Excel)・誓約書(Word)・注意事項の3点で、誓約書は新様式で加わったものです。

第32回まで(旧様式 2024年4月版・8月版)

実務経験証明書(Excel)+注意事項。第26回〜第32回で使われていた様式

第33回から(新様式 2026年8月〜)

実務経験証明書(Excel)+誓約書(Word)+注意事項。誓約書は受験申請者本人が記入する

経過措置の長さは団体で違います。キャリ協は第33回試験だけ旧様式でも受け付けると書き、JCDAは第33回と第34回に限って旧様式を受け付け、さらに過去に提出した証明書の写しの再提出も認めると書いています。

第33回より様式等が変更となっております。第33回・第34回試験に限り、経過措置として旧様式(2024年4月版もしくは8月版)による申請も受け付けます。 第26回〜第32回試験で、旧様式(2024年4月版もしくは8月版)を用いて実務経験証明書を提出済みの方が、第33回・第34回試験に再度申請する場合は、当時提出した実務経験証明書(補足資料等を提出している場合はその写しを含む)の写し(コピー)の再提出でも受け付けます。

出典: 第33回 キャリアコンサルタント試験 受験案内 p.5 ※2(日本キャリア開発協会)
項目キャリ協JCDA
新様式で必要な書類実務経験証明書+誓約書実務経験証明書(Excel)+誓約書(Word)
旧様式の経過措置第33回試験のみ第33回・第34回試験に限る
過去に提出した証明書の再利用(記載なし)第26回〜第32回で提出済みの旧様式の写しの再提出も可(第33回・第34回)
証明者原則として直属の上長。組織の代表や個人事業主等は契約先・業務委託元等(クライエント個人による証明は不可)勤務先の上長など、実務経験を証明できる方。受験申請者記入欄を除き本人による記入は不可
不備の扱い形式・頻度のチェック欄が空欄、または通算3年以上の従事期間が確認できない場合は受理されず、再提出も認められない(受験案内に個別の記載なし)

キャリ協の受験案内は、証明書を証明者に無断で作成または改変したときは受験資格や合格の取り消し、刑法上の罪に問われる場合があるとも書いています。不備は再提出が認められないので、様式裏面の注意事項と受験概要ページの記入例で申請前に確かめる必要があります。

実務経験ルートの書類が変わったのは今回が初めてではありません。

時期変わったこと出典
2021年8月(第18回試験から)それまで郵送のみだった実務経験ルートの申請がWeb申請でも可能にキャリ協お知らせ 2021年8月6日
2024年4月実務経験証明書の様式・審査基準を変更両団体連名のお知らせ 2024年3月28日
2026年8月(第33回試験から)様式等を変更。指定様式の実務経験証明書と誓約書が必要に両団体連名のお知らせ 2026年7月30日・両団体の第33回受験案内

養成講習と技能検定のルートは、証明書類が団体で少し違う

区分1(養成講習修了)と区分3(技能検定の一部合格)は、実務経験のような審査はなく、証明書類の出し方だけ確認すればよいルートです。ただし細部が団体で違います。

区分1・養成講習修了。両団体とも団体発行の養成講習修了者コード(JCDAの受験案内では2桁の半角数字と9桁の半角英数字の12桁)を申請書に記入し、コードがあれば修了証の写しは不要です。コードの発行を受けていない場合は修了証の写しを添付しますが、専門実践教育訓練修了証明書は修了証ではないと両団体が注記しています。コードの発行開始時期は養成講習の実施機関によって異なります。

区分3・技能検定の一部合格。証明の仕方は、キャリ協が受験申請書に一部合格番号を記載(一部合格証明書の添付は不要)、JCDAが1級又は2級の一部合格証明書の写しの提出で、ここは団体で違います。キャリ協は、国家資格キャリアコンサルタント試験の学科・実技いずれかの合格番号ではないと念を押しています。合わせて、施行規則 第48条の5 は技能検定の学科試験に合格した者は学科試験、実技試験に合格した者は実技試験を免除すると定めており、両団体の受験案内も同じ内容を掲げています。

受験資格の確認が済んだら、次は論述の準備です。第33回の論述は両団体とも11月1日で、設問の構成はキャリ協JCDAで違います。日程の全体は第33回の日程、団体ごとの形式差はキャリ協とJCDAの違いにまとめています。

まとめ — 次に取る行動

  1. 自分がどの区分で申請するかを法 第30条の4 第3項の3つの号に当てはめて決める。複数に該当するなら、証明書類が最も簡単な区分(コードだけで済む区分1、番号だけで済む区分3)を選ぶ
  2. 実務経験ルートなら、第34回の受付(キャリ協 2026年12月11日〜12月22日・JCDA 2026年12月9日〜12月23日)から逆算して、直属の上長など証明者に新様式の実務経験証明書の作成を依頼する。旧様式が使えるのはキャリ協が第33回まで、JCDAが第34回までで、チェック欄の空欄は再提出なしで不受理になる
  3. 申請日の時点で通算3年に足りるかを、端数の日を切り捨てた年月数で数える。足りなければその回は見送り、講習ルート(区分1)に切り替えるかを検討する