公開されている第30回・第31回・第32回の学科試験問題用紙3冊を開き、理論家の名前が登場する設問を1問ずつ数えたところ、計150問のうち27問でした。最も多かったのはシュロスバーグの4問です。この記事は、その数え上げの結果だけを載せます。

理論家ごとの解説や暗記法は書きません。国家資格キャリアコンサルタント試験には、どの理論家を何問出すという公表資料が存在しないためです。公式に示されているのは、厚生労働省の細目に並ぶ理論のアプローチ名だけで、個々の人名は1つも書かれていません。したがって、人名の重みづけについて言えることは過去にこう出たという実測しかありません。

数えた対象は、キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)と日本キャリア開発協会(JCDA)が公開している直近3回分です。学科は両団体の共通問題なので、どちらのサイトから取っても中身は同じです。入手先は学科の過去問にまとめました。

なお、当サイトは学科の設問文・選択肢・正答番号を一切掲載しません。学科は両団体の共同著作物で、使用には両団体の許諾が要ると公式に明記されているためです。ここで出すのは、問番号と人名と回数だけです。

150問のうち、理論家の名前が出た設問は27問でした

数え方を先に書きます。設問ブロック(問Nから次の問の直前まで)に、カタカナの人名とローマ字表記が併記された形が出てくる設問を1問と数え、同じ設問の中で同じ人名が複数回出ても1問としました。ローマ字併記のない素の人名は、複合語との取り違えを避けるためにいったん除外し、原文の該当ブロックを目で確認してから加えています。

回ごとの内訳は次のとおりです。

実施日総設問数名前が出た設問
第30回2025年11月2日50問11問
第31回2026年3月1日50問10問
第32回2026年7月5日50問6問
3回合計150問27問

3回とも形式は変わっていません。問題用紙の表紙には次のように印刷されています。

本試験の出題形式は、4肢択一式50問です。

出典: 第30回 国家資格キャリアコンサルタント試験 学科試験 問題用紙

同じ50問という枠のなかで、名前の出た設問数は11問・10問・6問と動いています。第32回は第30回のほぼ半分です。3回しかないので傾向とは呼べませんが、少なくとも毎回だいたい同じ数だけ出るとは言えない、ということは数字が示しています。

人名ごとの実測 — 最多はシュロスバーグの4問

3回を通した人名ごとの出題設問数と、それが第何回の問何番だったかは次のとおりです。

人名3回計第30回(問)第31回(問)第32回(問)
シュロスバーグ430、31832
クランボルツ35、319
シャイン33155
サビカス394、8
バーン2810
アイビイ23434
ホール27、8
ロジャーズ210、36

3回で1問だけだった人名は、次の20名です。ハケット(第30回問4)、ホランド(問6)、チクセントミハイ(問7)、マズロー(問7)、ハーズバーグ(問7)、フロイト(問8)、エリス(問8)、パールズ(問8)、スキナー(問9)、エリクソン(問29)、國分康孝(問39)、パーソンズ(第31回問4)、バンデューラ(問6)、ハンセン(問8)、ジェラット(問8)、シュルツ(問10)、スーパー(問31)、レント(第30回問4)、ブラウン(第30回問4)、ヒルトン(第32回問7)。

表の見方で注意が要るのは、1つの設問に複数の人名が入る場合があることです。たとえば第30回の問7にはチクセントミハイ・マズロー・ハーズバーグの3名が、問8にはバーン・フロイト・エリス・パールズの4名が同じ設問の中に出てきます。人名の延べ数と設問数は一致しません。

3回すべてに名前が出たのはシュロスバーグとシャインの2名です。クランボルツとサビカスは3問ずつありますが、クランボルツは第31回で、サビカスは第30回で0問でした。ここから言えるのは特定の人名が毎回必ず出るとは限らないということで、次回に何が出るかの予想材料にはなりません。

スーパーの名前は5問に出るが、本人の理論を問う設問は1問だけ

数えていて最も意外だったのがこれです。3回150問のなかでスーパーという文字列を含む設問は5問ありました。しかし原文を1問ずつ確認すると、うち4問はスーパービジョンに関する設問で、Super, D. E. 本人とは無関係でした。

回・問スーパーの用いられ方
第30回 問46スーパーバイザーに関する設問
第30回 問49スーパービジョンに関する設問
第31回 問31Super, D. E. 本人の理論を扱う設問
第31回 問49スーパービジョンに関する設問
第32回 問50スーパービジョンに関する設問

つまり、150問のなかでスーパー本人の理論が直接問われたのは第31回の問31、1問だけということになります。同じ現象は別の語でも起きていて、第32回の問13に出てくるレントはリカレント教育という語の一部で、社会認知キャリア理論のLent, R. W. とは別物です。逆に第30回の問4では、レントとブラウンとハケットの3名が社会認知キャリア理論の文脈で同じ設問に並んでいます。

理論家の名前で過去問を検索したり、機械的に語句を数えたりすると、この4問と1問がまとめてスーパーの出題として計上されます。人名の頻度を扱うときは、その語が本当に人名として使われているかを設問ごとに見る必要がある、という実例です。

名前が出る設問は、問4〜問10に固まっています

27問がどの問番号にあったかを並べると、位置が偏っていることがわかります。

名前が出た問番号
第30回4、5、6、7、8、9、29、30、31、34、39
第31回4、5、6、7、8、9、10、31、34、36
第32回4、5、7、8、9、32

27問のうち18問が問4〜問10の範囲にあります。残り9問は問29以降に散っています。3回とも問4と問5には名前が出ており、問1〜問3には3回とも出ていません。人名が出ていない帯に何が出ていたかは、公的資料と法令の側から数えた学科の出題傾向を実測にまとめています。

この並びは、厚生労働省の細目の科目順とゆるやかに対応しているように見えます。細目では「キャリアに関する理論」と「カウンセリングに関する理論」が、社会・経済の動向やキャリアコンサルティングの役割の次に置かれているためです。ただし、問番号と細目の項目が対応すると公式に説明された資料はありません。3回について観察された並びであって、第33回(2026年11月1日)が同じ並びになる保証はない、という以上のことは言えません。第33回の日程は第33回の試験日程にまとめています。

公式が示している理論の範囲は、細目の数行だけです

学習の範囲について公式が示しているのは、厚生労働省の「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」です。「キャリアに関する理論」の欄には、次の6つのアプローチが並びます。

キャリア発達理論、職業指導理論、職業選択理論等のキャリア開発に関する代表的理論の概要(基礎知識)について詳細な知識を有すること。 ・パーソナリティ・特性因子論アプローチ ・発達論・トランジションに関するアプローチ ・社会的学習理論アプローチ ・意思決定論アプローチ ・精神分析的理論 ・動機づけ(職務満足・職業適応)理論 等

出典: 厚生労働省「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」

続く「カウンセリングに関する理論」の欄も同じ形式です。

① 代表的なカウンセリング理論の概要(基礎知識)、特徴 ・来談者中心アプローチ ・精神分析的カウンセリング ・論理療法 ・行動療法 ・ゲシュタルト療法

出典: 厚生労働省「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目」

書かれているのはアプローチ名だけで、人名も、人名ごとの重みづけも一切ありません。どの理論家が何問という配分は、公式には存在しないということです。キャリ協も、配点と試験内容の問い合わせには応じないと明記しています。

過去に実施した3回分の試験問題を公開しています。 なお配点・試験の内容に関するお問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください。

出典: キャリアコンサルティング協議会「過去問題/学習情報」

この記事で理論の中身を説明しないのは、それを説明できる公式の一次資料がないからです。上の実測表は過去3回でこう出たという事実であって、出題予想ではありません。使い方としては、細目の6つのアプローチを軸に据え、そこに実測で名前の出た人物を紐づけていく順番が無理がありません。実技側の範囲の読み方は実技試験の範囲に分けて書いています。

まとめ — 次に取る行動

  1. 細目の「キャリアに関する理論」と「カウンセリングに関する理論」の欄を先に開き、6つのアプローチと5つのカウンセリング理論を学習の軸に据える。人名はその下にぶら下げる
  2. 上の実測表で3回計2問以上だった8名(シュロスバーグ・クランボルツ・シャイン・サビカス・バーン・アイビイ・ホール・ロジャーズ)を先に固める。ただし3回すべてに出たのはシャインだけで、次回の出題を保証する数字ではない
  3. 過去問を解くときは問4〜問10を1つの帯として扱い、時間配分をそこで詰まらない形にしておく
  4. 人名で検索して学習範囲を絞らない。スーパーの5問のうち4問がスーパービジョンだったように、語の一致は出題の一致を意味しない
  5. 実技の過去問も同時に押さえる。実技には模範解答が公開されていないため、手掛かりの取り方が学科と違う(論述の過去問