学科の出題傾向として公式に公表されているのは、試験科目の一覧と、厚生労働省が定めた細目までです。どの白書・どの調査・どの法令から何問出るかは、どこにも書かれていません。そこで、実際に公開されている第30回・第31回・第32回の問題用紙を開き、公的資料と法令の名前が出てくる問番号を出典単位で数えました。
対象は3回分で150問です。学科は両団体が共同で作る共通問題なので、キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)で受ける人にも日本キャリア開発協会(JCDA)で受ける人にも同じ数字が当てはまります。第33回は2026年11月1日に実施されます。
根拠にしたのは、厚生労働省の細目、両団体の第33回受験案内、キャリ協の過去問題ページ、そして実際に開いた第30〜32回の学科試験問題用紙3冊です。設問文・選択肢・正答の中身は一切載せません。学科は両団体の共同著作物で、使用には両団体の許諾が要ると公式に明記されているためです。ここに書くのは過去に起きたことの実測だけで、次に何が出るかの予想は書きません。
公式が出典として名指ししているのは、法令のリストだけです
まず、公表されている範囲を確認します。キャリ協の第33回受験案内には、試験科目が次のように並んでいます。
キャリアコンサルタント試験の試験科目は次のとおりです。
1.職業能力開発促進法その他関係法令に関する科目 2.キャリアコンサルティングの理論に関する科目
3.キャリアコンサルティングの実務に関する科目 4.キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目
5.キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目
受験案内はこの先を厚生労働省の細目のPDFに委ねています。その細目のうち、資料や法令の名前が固有名詞で列挙されている箇所は、学科の範囲では1か所だけです。労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識にあたる項目です。
次に掲げる労働者の雇用や福祉を取り巻く各種の法律・制度に関し、キャリア形成との関連において、その目的、概念、内容、動向、課題、関係機関等について一般的な知識を有すること。
① 労働関係法規及びこれらに基づく労働政策
ア 労働基準関係
労働基準法、労働契約法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法
イ 女性関係
男女雇用機会均等法、女性活躍推進法、パートタイム労働法(パートタイム・有期雇用労働法)
ウ 育児・介護休業関係
育児・介護休業法
エ 職業安定関係
労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)、職業安定法、若者雇用促進法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法
オ 職業能力開発関係
職業能力開発促進法
カ その他の労働関係法令
法令はこのように固有名詞で挙がっています。一方、白書・調査・ガイドラインの類は、細目に固有名詞が出てきません。労働市場に関する項目は次の書き方です。
社会情勢や産業構造の変化とその影響、また雇用・失業情勢を示す有効求人倍率や完全失業率等の最近の労働市場や雇用の動向について一般的な知識を有すること。
学校教育に関する項目も同じで、学習指導要領という語は出てきません。
学校教育制度や、初等中等教育から高等教育に至る学校種ごとの教育目標等、青少年期の発達課題等に応じたキャリア教育のあり方等について一般的な知識を有すること。
つまり、どの白書のどの年版を読めばよいかを公式が指定している事実はありません。分野別の配点も公表されておらず、キャリ協は過去問題ページで次のように書いています。
なお配点・試験の内容に関するお問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください。
だからこそ、公表されている過去問を自分で開いて数えるしかありません。過去問の入手先は学科の過去問にまとめています。
3回連続で名前が出た出典は2つでした
第30〜32回の150問を出典単位で見たとき、3回とも名前が出てきた資料は2つだけでした。労働基準法と、高等学校学習指導要領です。
| 出典 | 第30回 | 第31回 | 第32回 |
|---|---|---|---|
| 労働基準法 | 問21 | 問24 | 問25 |
| 高等学校学習指導要領 | 問25 | 問28 | 問29 |
どちらも問番号が回を追って後ろにずれていますが、これは前後の設問の並びが動いた結果で、意味のある規則ではありません。読み取れるのは、この2つが3回とも欠かさず登場したという事実だけです。
労働基準法は、上に引用した細目のアに固有名詞で挙がっている法令です。一方、高等学校学習指導要領は細目に名前がなく、学校教育制度及びキャリア教育の知識という項目の下に位置づけられる資料です。細目に名前が書かれていない資料が3回連続で出ている、というのがこの表の要点になります。
出典単位の実測表 — 第30〜32回で名前が出た公的資料と法令
3回で複数回出たもの、1回だけ出たものをまとめると次のようになります。ダッシュは、その回では名前が出てこなかったことを示します。
| 出典 | 第30回 | 第31回 | 第32回 | 3回計 |
|---|---|---|---|---|
| 労働基準法 | 問21 | 問24 | 問25 | 3 |
| 高等学校学習指導要領 | 問25 | 問28 | 問29 | 3 |
| 能力開発基本調査 | 問2・問12 | 問2 | — | 3 |
| 職場における学び・学び直し促進ガイドライン | — | 問14 | 問15 | 2 |
| 厚生労働白書 | 問28 | 問30 | — | 2 |
| 男女共同参画白書 | — | 問1・問16 | — | 2 |
| 副業・兼業の促進に関するガイドライン | 問13 | 問23 | — | 2 |
| 職業能力開発促進法 | — | — | 問2・問48 | 2 |
| パートタイム・有期雇用労働法 | 問20 | — | — | 1 |
| 労働契約法 | — | 問22 | — | 1 |
| 労働安全衛生法 | — | — | 問23 | 1 |
| 育児・介護休業法 | — | — | 問25 | 1 |
法令の側を細目のリストと突き合わせると、アの4法令のうち3つ(労働基準法・労働契約法・労働安全衛生法)が3回のどこかで出ていて、イからは1つ(パートタイム・有期雇用労働法)、ウから1つ(育児・介護休業法)、オから1つ(職業能力開発促進法)が出ています。エの職業安定関係に挙がっている6法令については、この3回では法令名が主題になった設問を確認できませんでした。
第32回では、労働基準法と育児・介護休業法がどちらも問25に現れます。1つの設問が複数の法令に触れる場合があるためで、法令1つに1問が対応しているわけではありません。表の数字は設問の数ではなく、名前が出た設問の位置だと読んでください。
人名の側の実測は別記事にしてあります。第30〜32回で理論家の名前が出た設問と回数は学科で出る理論家を数えたにまとめました。資料・法令の帯と理論家の帯は問番号の位置が分かれていて、両方を並べると150問の構成が見えやすくなります。
問番号の帯と出典のジャンルが、この3回ではほぼ対応しています
上の表を問番号の順に並べ替えると、ジャンルが帯になって並んでいることがわかります。第30〜32回に限った観察として書きます。
| 問番号の帯 | この3回で出てきた出典のジャンル | 該当例 |
|---|---|---|
| 問1〜問2 | 調査・白書 | 能力開発基本調査(第30回 問2・第31回 問2)、男女共同参画白書(第31回 問1) |
| 問12〜問16 | 施策・ガイドライン | 副業・兼業の促進に関するガイドライン(第30回 問13)、職場における学び・学び直し促進ガイドライン(第31回 問14・第32回 問15) |
| 問20〜問25 | 法令 | パートタイム・有期雇用労働法(第30回 問20)、労働契約法(第31回 問22)、労働安全衛生法(第32回 問23)、労働基準法(3回とも) |
| 問25〜問30 | 白書・学習指導要領 | 厚生労働白書(第30回 問28・第31回 問30)、高等学校学習指導要領(3回とも) |
この対応は3回分の実測から見えたもので、公式に発表されている構成ではありません。第32回の問2が職業能力開発促進法だったように、帯から外れる例もあります。第33回で同じ並びになるという根拠はどこにもないので、この表は過去問を解く順番を組み立てるときの手がかりとして使い、出題予想として使わないでください。
実技側は細目の書き方が学科と大きく違い、技能の定義がそのまま並ぶ形になっています。そちらは実技試験の範囲と技能で扱っています。
法令は2026年4月1日時点で施行済みのものが対象です
法令が出典になる以上、いつ時点の条文で答えるかが問題になります。両団体とも受験案内に法令基準日を書いていて、第33回を含む2026年度は同じ日付です。JCDAの受験案内は次のとおりです。
2026 年度試験の問題の解答にあたっては、2026 年4 月1 日の時点ですでに施行(法令の効力発生)されている法令等に基づくものとします。なお、試験範囲に含まれる時事的問題など、キャリアコンサルティングに関連するものとして知っておくべき知識・情報については、基準日にかかわらず出題される可能性がありますのでご留意ください。
キャリ協の受験案内も日付は同じですが、文の後半の言い回しがわずかに違います。
試験問題の解答にあたっては、2026(令和8)年4 月1 日の時点で、すでに施行(法令の効力発生)されている法令等に基づくものとします。なお、試験範囲に含まれる時事的問題など、キャリアコンサルティングに関連するものとして知っておくべき知識・情報については、基準日にかかわらず出題されることがありますのでご留意ください。
押さえておきたいのは、基準日の対象が法令等に限られていることです。白書・調査・ガイドラインは時事的問題の側に入り得るため、基準日を過ぎて公表されたものが範囲から外れるとは書かれていません。上の実測表で白書と調査が繰り返し登場していることと合わせると、法令は基準日で線を引き、資料は最新版に目を通しておく、という読み方になります。
基準日そのものは両団体で一致しているので、受験する団体によって答えが変わる論点ではありません。試験日と発表日は第33回の試験日程にまとめています。
まとめ — 次に取る行動
- 上に引用した細目の法令リスト(ア〜カ)を開き、第30〜32回で名前が出た6法令に印を付ける。細目に名前があって3回とも出ていない法令が残るので、そこが手薄になっていないかを自分で確認する
- 実測表の資料側(能力開発基本調査・厚生労働白書・男女共同参画白書・2つのガイドライン)について、2026年4月1日より前に公表された最新版の概要に目を通しておく。法令基準日の対象は法令等で、資料は基準日にかかわらず出題される可能性があると両団体が書いている
- 過去問を解くときは、この記事の帯の表を答え合わせの後に使う。問番号だけを見て出典を先読みする使い方はしない。第33回で同じ並びになるという公式の根拠はない
- 人名側の実測(学科で出る理論家を数えた)と合わせて読み、150問のうち自分がまだ触れていない帯を洗い出す