国家資格キャリアコンサルタント試験の面接について公表されている評価の情報は、評価区分の名称と、どの区分も満点の40%以上を取る必要があるという条件の2つだけです。各区分が何点満点なのか、どういう状態を評価しているのかは、キャリアコンサルティング協議会(キャリ協)も日本キャリア開発協会(JCDA)も公表していません。

この記事は、第33回(2026年11月1日)に向けて面接の準備を組み立てている方に向けて、公表されている事実と公表されていない事実の境界を引くために書きました。根拠にしたのは、キャリ協の受験概要と第33回受験案内、JCDAの試験要項、そしてキャリ協が実施している2級キャリアコンサルティング技能検定の公表資料です。

2級技能検定を持ち出すのは、面接の評価区分の内容を文章で公表しているのが、この試験のほうだからです。実施している法人は同じでも、国家資格キャリアコンサルタント試験とは別の試験で、試験時間も合格基準も評価区分の数も違います。この記事では両者を1つの表に並べて違いを示しますが、2級の定義文を国家資格試験の評価基準として読み替えることはしません。

公表されているのは評価区分の名称と、満点の40%以上という条件だけ

面接の評価について両団体が公表しているのは、合格基準の一文に出てくる区分の名称と、区分ごとの40%の条件だけです。

合格基準 150点満点で90点以上の得点 *但し、論述は配点の40%以上の得点、かつ面接は評価区分「態度」「展開」「自己評価」ごとに満点の40%以上の得点が必要

出典: キャリアコンサルティング協議会「受験概要」

150点満点で90点以上の得点 ただし論述試験の満点の40%以上、かつ面接試験の評価区分の中の「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」のいずれにおいても満点の40%以上の得点が必要

出典: 日本キャリア開発協会「試験要項」

この2つの原文から読み取れることを整理すると、次のようになります。

キャリ協JCDA
評価区分の名称態度/展開/自己評価主訴・問題の把握/具体的展開/傾聴
区分の数33
区分ごとの条件満点の40%以上満点の40%以上
各区分の内容の説明公表なし公表なし
区分別の配点公表なし公表なし

名称の並びは団体で違いますが、区分の数はどちらも3つで、条件の書き方も同じです。名称の対比と、どちらの団体で受けるかの判断材料はキャリ協とJCDAの違いにまとめています。

区分の名称は、評価の観点を示す見出しではあっても、定義ではありません。たとえばキャリ協の展開という語が、面談のどの段階を指し、何をもって評価されるのかは、どの公表資料にも書かれていません。

区分が1つでも40%を下回れば、ほかがよくても実技は不合格になる

面接の合計点が足りていても、区分が1つでも満点の40%を下回った時点で実技試験は不合格になります。

実技試験の合格には、原文どおりに読むと3つの条件が同時に必要です。

  1. 実技150点満点で90点以上
  2. 論述が配点(満点)の40%以上
  3. 面接の評価区分のいずれもが満点の40%以上

このうち3つめは、区分ごとに独立して判定されます。たとえば2つの区分で高い点を取っていても、残り1つが40%に届かなければ、合計点が90点を超えていても実技は不合格です。逆に言えば、面接の準備で最初に避けるべきは、特定の区分を丸ごと落とすことです。

40%ラインの計算そのものは論述の配点と合格基準で扱っています。また、公式資料に不合格・採点されないと書かれている条件は実技で不合格・採点されない条件に9つ並べました。

評価区分の内容を文章で公表しているのは、2級技能検定のほうです

評価区分の内容を文章で説明した公式資料が存在するのは、国家資格キャリアコンサルタント試験ではなく、2級キャリアコンサルティング技能検定のほうです。

2級キャリアコンサルティング技能検定は、キャリ協が実施している技能検定で、国家資格キャリアコンサルタント試験とは別の試験です。この試験の実施概要には、合格基準と評価区分が次のように書かれています。

8.合格基準は100 点満点で60 点以上の得点です。評価区分は基本的態度、関係構築力、問題把握力、具体的展開力の4 区分です。なお、評価区分ごとに満点の60%以上の得点(所要点)が必要です。

出典: 2級実技(面接)試験実施概要(キャリアコンサルティング協議会 キャリアコンサルティング技能検定)

同じPDFの2ページ目には、この4区分それぞれの内容を説明した文章が続きます。柱書きは次のとおりです。

2 級実技(面接)試験の評価区分とその内容は、下記のとおりです。受検される方は、これを熟読した上で、試験に臨んでください。

出典: 2級キャリアコンサルティング技能検定実技(面接)試験の評価区分とその内容(キャリアコンサルティング協議会)

国家資格キャリアコンサルタント試験の側には、これに当たる文書がありません。キャリ協は、配点や試験の内容についての問い合わせに答えないことを明記しています。

なお配点・試験の内容に関するお問い合わせには、お答えできませんのでご了承ください。

出典: キャリアコンサルティング協議会「過去問題/学習情報」

区分名を並べると、そもそも対応していないことがわかります。2級は基本的態度・関係構築力・問題把握力・具体的展開力の4区分、国家資格試験はキャリ協が態度・展開・自己評価の3区分、JCDAが「主訴・問題の把握」・具体的展開・傾聴の3区分です。具体的展開と具体的展開力のように語が近いものはありますが、名称が完全に一致する区分は1つもなく、区分の数も一致しません。したがって、2級の説明文をそのまま国家資格試験の評価基準として読むことはできません。

2級技能検定と国家資格試験は、時間・ケース・合格基準・区分の数まで違う

2つの試験は、評価区分の説明の有無だけでなく、面接の進み方そのものが違います。

2級の実施概要は、時間とケースの出し方を次のように書いています。

1.実施方法:ロールプレイ …… 20 分 口頭試問 ……… 7分 2.相談内容は、5 ケースのうちから1 ケースが出題されます。

出典: 2級実技(面接)試験実施概要(キャリアコンサルティング協議会 キャリアコンサルティング技能検定)

国家資格試験のほうは、キャリ協の受験概要とJCDAの試験要項がどちらも20分(ロールプレイ15分、口頭試問5分)と定めており、第33回受験案内の試験形式の表にも面接試験は1ケース・20分と記載されています。ただし、その1ケースがいくつの候補から出されるのかは、両団体とも公表していません。

項目国家資格 キャリアコンサルタント試験2級キャリアコンサルティング技能検定
ロールプレイの時間15分20分
口頭試問の時間5分7分
出題ケース1ケース(候補の数は公表なし)5ケースのうちから1ケース
実技の合格基準150点満点で90点以上100点満点で60点以上
区分ごとの所要点満点の40%以上満点の60%以上
評価区分の数キャリ協3/JCDA34
各区分の内容の説明公表なし公表あり
口頭試問の質問例公表なし公式に2問掲載
面接の記録録音・録画(キャリ協 第33回受験案内)録音

面接の記録については、キャリ協の第33回受験案内が、採点の公正性を期すために面接試験の内容が録音・録画され、そのデータを採点に使用することがある旨を記載しています。JCDAの試験要項と第33回受験案内には同じ記載を確認できていません。2級は録音のみで、受検者側の録音は失格と書かれています。

こうして並べると、時間・ケース・合格基準・所要点・区分の数のすべてが違うことがわかります。2級の資料を国家資格試験の対策に使うとき、どこまでが別の試験の話なのかを意識しないと、40%と60%、3区分と4区分、15分と20分を取り違えることになります。

区分別の配点が非公開なので、区分ごとの目標点は計算できない

面接の各区分が何点満点なのかは公表されていないため、40%が何点に当たるのかは計算できません。

実技150点満点のうち、論述は50点満点です(設問別の配点は問題用紙に印刷されています)。差し引くと面接は100点になり、この計算は論述の配点と合格基準で扱っています。ただし、その100点を3つの区分にどう割り振るのかは、キャリ協もJCDAも公表していません。均等配分だという記載もありません。したがって、各区分の40%が何点なのかは、公表資料からは出せません。

もう1つ公表されていないのが、ロールプレイ15分のあとに行われる口頭試問5分が、どの区分の得点に反映されるのかです。キャリ協の受験概要は口頭試問を自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答えるものと説明していますが、それが自己評価の区分だけを見るものなのか、ほかの区分にも及ぶのかは書かれていません。

区分ごとの点数や配点比を数字で示している解説は、公表資料に根拠がありません。当サイトも面接の点数の予想は出しません。準備で使えるのは、公表されている枠だけです。すなわち、区分の名称が3つあること、いずれも満点の40%以上が必要なこと、ロールプレイは15分で口頭試問は5分であること、面接は録音・録画されることです。

口頭試問で実際に何を聞かれたのかについては、公式の質問リストが存在しないため、受験者本人が公開している記録を数える以外に手掛かりがありません。それらは公式資料ではなく個人の記録ですが、内訳は口頭試問で聞かれることにまとめています。

まとめ — 次に取る行動

  1. 面接の準備は、3つの区分のどれかを丸ごと落とさないことを最優先にする。合計点が足りていても、1区分が満点の40%を下回れば実技は不合格になる
  2. 評価区分の内容を説明した文章を見つけたら、それが2級キャリアコンサルティング技能検定のものかどうかを先に確認する。国家資格試験の側には、区分名以外の説明が公表されていない
  3. 点数を作れない面接よりも、配点が公表されている論述を先に固める(論述の配点と合格基準)。第33回の学科・論述は2026年11月1日です(第33回の日程